キプロス深層、地中海に足場を求める露 [EU]

                                (感想) シリアの軍港が危うくなりつつあるロシア。
                                        ロシアを頼みとしたいキプロス。
                                      EUとIMFが、ロシア排除に動く様子。
                                    金融と軍事が表裏一体の現実が見え隠れする。


ルール無用のキプロス救済 ロシアの大口預金踏み倒し
    2013年03月25日 17:30  木村正人

http://blogos.com/article/58799/

■ 超法規的措置は許されるか

ユーロ圏や国際通貨基金(IMF)から100億ユーロ(約1兆2300億円)の支援を受ける代わりに国内金融機関の全預金に一律、税金をかけ58億ユーロを捻出する救済案を拒否したキプロスは、同国第2位のライキ銀行を解体、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)の大口預金を踏み倒し問題の58億ユーロを穴埋めすることでユーロ圏、IMFと合意した

英紙フィナンシャル・タイムズが伝えた。

欧州中央銀行(ECB)は25日までに58億ユーロを調達する代替案で合意できなければ、キプロス最大手のキプロス銀行とライキ銀行への緊急流動性支援を打ち切ると最後通牒を突きつけていたが、最悪の事態はとりあえず回避された。

26日にはキプロスの金融機関は10日ぶりに再開するが、10万ユーロ(約1230万円)以上の大口預金者について資本逃避を防ぐため、引き出しや送金を規制する。

EUは(欧州連合)は基本法・リスボン条約で(1)商品(2)人(3)サービス(4)資本の移動の自由を認めている。特に、資本の移動については、加盟国間だけでなく、加盟国と第3国との間でも制限することを禁じている

当初の預金課税案は、本来なら法的に保護されている10万ユーロ未満の小口預金についても6・57%を一時的に課税する「禁じ手」だった。

しかし、最終的にまとまった銀行分割と大口預金踏み倒しのための資本規制はEUの基本理念に反している。

これまでEUは構造的欠陥を抱える単一通貨ユーロを守るため、他の加盟国の財政赤字を肩代わりしないというリスボン条約の「非救済条項」などを次々と反故にしてきた。

10万ユーロ未満の小口預金への課税はまだ「違法」で済まされるかもしれないが、資本規制はリスボン条約違反、明らかな「違憲」と言わざるを得ない。

ECBによる国債の無制限購入でひとまずユーロ危機を脱し、金融危機のリスクが遠のく中、明らかに「違憲」な資本規制が、危機回避のための「超法規的措置」として許されるのかどうか大きな疑問を残す。

英誌エコノミストが主張するようにESM(欧州安定メカニズム)を通じて救済する方が、信用不安の火種を残さずに済んだのではないだろうか。

■ 銀行解体

42億ユーロの預金を持つライキ銀行を10万ユーロ未満の小口預金とそれ以上の大口預金に分割。小口預金は全額保護するため同国最大手のキプロス銀行に移す。大口預金はバッド・バンクに移して、全額踏み倒す。

キプロス銀行についても10万ユーロ以上の大口預金は凍結するとみられている。

IMFの資産では大口預金者は預金の20%以上を失うことになる。当初の銀行課税案で、小口預金者が負担するはずだった20億ユーロを大口預金者に肩代わりさせた格好だ。

キプロス救済のモデルは、2008年の世界金融危機で金融システムが破綻したものの、その後、V字回復したEU非加盟の島国アイスランドだ。アイスランドの金融資産は国内総生産(GDP)の10倍、キプロスの場合は8倍に達していた。

アイスランドは世界金融危機で国内銀行大手をすべて国有化し、グッド・バンクとバット・バンクに分割。優良資産をグッド・バンクに移して国内預金者を保護するための資金を確保した。その一方で、英国やオランダの預金者を含めて国外債権をバット・バンクに集めて踏み倒すという荒業を見せた。

アイスランド型を強く主張してきたのはドイツとIMFだった。

アイスランドは自国通貨を持つため、通貨暴落を利用して観光や輸出を促進、2011年には早くも2・9%のプラス成長に転じた。しかし、ユーロに縛られたキプロスに通貨安の追い風は吹かない。

待っているのは歳出カット、賃金カット、雇用削減など、ギリシャが進む辛くて厳しい「いばら(内的減価)の道」である。

■ トロイの木馬

米格付け会社ムーディーズによると、キプロスの預金の3分の1に相当する310億ドル(約2兆9400億円)がロシア資金だ

キプロス救済のためにいち早く25億ユーロを融資したロシアは、キプロスとユーロ圏、IMFの交渉からつんぼ桟敷に置かれた上、返済期限の延長と利子の減免を求められている。

キプロスは海底ガス利権を取引条件に、ロシアから追加の援助を引き出そうとしたが、頓挫した。返済期限の延長や利子の減免についても、キプロスのサリス財務相は「条件が調整されると思う」というだけで、どうなるかプーチン露大統領の腹一つだ。

キプロスはEU内でロシアの「トロイの木馬」と言われてきた。

2008年、コソボが独立を宣言した際、EUは独立を承認しようとしたが、キプロスはロシアの言い分を代弁するように独立に反対。ロシアが軍事介入したグルジア紛争でも、ロシアに制裁を加えようとするEUに反対した。

ロシア海軍は地中海に面したシリア西部タルトゥスの軍港を使用してきた。しかし、内戦の激化で使用できなくなる恐れがあり、できれば代替港をキプロスに置きたいと考えている

■ メルケルの「逆襲」

メルケル独首相との首脳会談で、プーチンは大型の愛犬を同席させてきた。幼い頃、犬にかまれた思い出があるメルケルにとっては、犬の存在は快くなかったに違いない。

今回の措置でロシアのオリガルヒはすでにラトビア、スイスなどに預金を移す動きを見せている。

強硬策には外交・安全保障でプーチンを牽制する狙いも含まれている。シリア内戦やイラン核問題の行き詰まりを打開するにはプーチンの協力が不可欠なのだが、メルケルの「逆襲」はプーチンを硬化させ、裏目に出る恐れが十二分にある。

(おわり)


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キプロスで「オウンゴール」 冷え切る欧ロ関係
    Financial Times(翻訳) (3ページ)  2013/3/25 7:00 記事保存

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2205P_S3A320C1000000/

(2013年3月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 ロシアのメドベージェフ首相は21日、キプロス危機の解決策は「ロシアの組織も含むすべての利害関係者が参加」して検討しなければならないと強調した。

■ 相手の出方に激怒する双方    96958A9C9381959FE0E0E2E7828DE0E0E2E1E0E2E3E1E2E2E2E2E2E2-DSXBZO5309434022032013000001-PB1-15.jpg
モスクワで会議に出席した欧州委員会のバローゾ委員長=左=とロシアのメドベージェフ首相(3月21日)=AP  (写真)

 だが、予定されていたモスクワでの会議でメドベージェフ首相がバローゾ欧州委員会委員長の隣に座った時も、空気は明らかに「張り詰めていた」と西側のある外交官は言う。

 メドベージェフ首相はバローゾ委員長のスピーチの間ずっと「iPad(アイパッド)」で遊んでいるように見えた。欧州連合(EU)のある外交官によれば「メモを取っていた」らしいが。一方バローゾ委員長は、スピーチの重要なくだりでロシアを省略するかのように、「キプロスとユーログループ(ユーロ圏財務相会合)の関係者は協議を進め、解決策を見つけようとしている」と述べた。

 どちらも内心、激怒している。ロシア側は、キプロスの銀行の預金者――多くがロシア人――から58億ユーロの税金を徴収する100億ユーロ規模のキプロス救済案で、何の相談もなかったとしてEUを非難している。

 EUは、ロシア政府が18日に救済案を激しく非難したことがキプロス議会に否決の口実を与えた可能性があると腹を立てている。いずれにせよ同じ結果だったかもしれないが。

 ラジオ局「モスクワのこだま」の代表を務めるアレクセイ・ベネディクトフ氏は、「怒った」バローゾ委員長が局とのインタビューをキャンセルしたと言ったが、あるEU高官は誤解だと語った。

■ 希薄な関係に長引くダメージ

 アナリストは、双方に影響するキプロス問題の解決で当初から協力できなかったことは、EUとロシアの関係の希薄さを示す好例で、長続きするダメージを与えかねないと警告する。

 欧米寄りのロシア人識者でさえ、EUはキプロスの預金者への「課税」案で派手なオウンゴールを放ってしまったと言う。

 「欧州は大きな間違いを犯した。欧州全土の銀行システムへ不信感が高まった結果、次にどこかで危機が起きればすべての預金者が銀行から逃げ出すだろう」。ロシア中央銀行の元副総裁でモスクワの国立高等経済学院の経済学者セルゲイ・アレクサシェンコ氏はこう話す。

 同氏は今回の件でロシアとEUの関係が悪化するかどうかを聞かれ、「ないものを傷つけるのは無理」と皮肉った。

■ 歩み寄れなかったEUとロシア

 ソビエト連邦の最後の大統領だったゴルバチョフ氏が、ロシアと欧州諸国は協力して「欧州共通の家」を築かねばならないと述べてから四半世紀近くたつ。メドベージェフ首相は20日、英フィナンシャル・タイムズなど欧州メディアとのインタビューで同じ表現を使った。

 だが1991年のソ連崩壊以降、貿易やビジネスのつながりは急拡大したものの、政治や制度上の協力は限られてきた。極めて重要なエネルギー分野でさえそうだ。2006年以降に2度あったロシアとウクライナの価格論争がウクライナ向けのガス供給停止に発展し、さらに西のEU諸国にも影響する事態を双方は防げなかった。

 プーチン大統領より欧州びいきと見られるメドベージェフ首相は、2009年にEUと始めた「近代化パートナーシップ」は商業での協力をもたらしたとインタビューで述べた。だが大半の観測筋は、年に2回のEU・ロシア首脳会議はますます形骸化しつつあるようだと話す。

 モスクワにある米国カナダ研究所のセルゲイ・ロゴフ所長は、ロシアの対EU関係はある意味で対米関係よりも中身がないと指摘する。米国のケリー国務長官やヘーゲル国防長官にとってロシアはまだ優先順位が高いが、「キャメロン(英首相)やメルケル(独首相)、オランド(仏大統領)にとっては違う」と言う。

■ EUに背を向け「ユーラシア同盟」へ

 ユーロ危機によってロシアはもはや欧州をモデルとは見なさなくなった。実際、プーチン大統領を含む保守派は欧州を公然と軽蔑している。

 「プーチン氏は西側の民主主義に基づく市場経済が崩壊したと信じている」とアレクサシェンコ氏は言う。「だとすると、苦労して合意する必要がどこにある? キプロスに関する今回の決断は、プーチン氏にとって本当に大きな贈り物だ」

 シンクタンク、カーネギー国際平和財団モスクワセンターのドミトリー・トレーニン所長は、プーチン大統領はEUとの協力から手を引き始めたと言う。代わりに重視するのは、近隣の旧ソ連諸国を再統合して統一経済圏「ユーラシア同盟」を築くことだ。

 これで中国や欧州に対するロシアの交渉力は強まり、EUとの間で貿易を軸とした「地域対地域」の関係が築ける。キプロス問題の影響でその傾向は強まる一方かもしれないとロゴフ所長は言う。「今回の件でロシアはいっそう欧州に背を向けかねない」

By Neil Buckley and Charles Clover

(翻訳協力 JBpress)

(c) The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.


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キプロス、預金課税を再検討 富裕層限定で
    (2ページ)   2013/3/24 0:18 記事保存

http://www.nikkei.com/article/DGXNNSE2INK01_T20C13A3000000/

 【ベルリン=赤川省吾】キプロス政府は23日、対象を富裕層に限定する形で、銀行預金への課税の再検討に入った。キプロス議会は22日に危機対策として大手銀行を整理する法案を可決したが、これだけではユーロ圏が支援条件とする58億ユーロ(約7千億円)分の自主財源を確保できないため。一度は全預金者への課税を否決した議会の承認を取り付けられるかが焦点となる。    96958A9C9C8197E09B9C99E2E38DE0E1E2E1E0E2E3E1E2E2E2E2E2E2-DSXDZO5315632024032013FF8000-PB1-8.jpg

 欧州連合(EU)などと協議を続けるサリス財務相が23日、首都ニコシアで記者団に明らかにした。具体的には、最大手のキプロス銀行の10万ユーロ以上の大口預金から25%を徴収する案が浮上。19日に議会で否決された2万ユーロよりも課税対象を引き上げて、預金者の反発を和らげたい考えだ。

 同財務相はEUなどとの協議後、大口預金への課税について「議論している」と記者団に言明。「この税率が有効かはさらに協議が必要だ」と述べ、23日中にも議会で法案を審議できるとの見通しを示した。

 キプロスとユーロ圏は15日、深刻な経営不振に陥った銀行の増資資金を得るため最大100億ユーロ(約1兆2200億円)の資金支援で一度は大筋合意した。しかし「すべての預金者に課税する」などの条件を付けたため、キプロス国民が猛反発。及び腰になった議会は預金課税案を否決した。

 議会は代替案として、大手銀を整理して投入が必要な公的資金を圧縮するのに加え、年金基金などを活用した基金を設立して自主財源を確保することを決めた。

 それでも約束の58億ユーロは満たせないため、キプロス政府は預金課税の再検討を始めた。アナスタシアディス大統領は23日にブリュッセルを訪問。24日に予定するユーロ圏財務相の臨時会合に向けて各国の理解を求めながら、キプロス議会の承認手続きを進める構えだ。

 22日の代替法案採決ではアナスタシアディス大統領の出身政党、民主運動党(DISY)と右派の民主党(DIKO)が賛成して過半数を確保した。大口預金課税でも両党への根回しに注力しているとみられる。

 一方、ユーロ側にも強い要求を突き付けざるを得ない事情がある。最大の資金の出し手であるドイツは9月に連邦議会(下院)選挙を控える。メルケル首相の連立与党は1月の地方選で野党に敗れており、安易な支援は命取りになるためだ。

 ドイツには税金を使ってキプロス以外の富裕層まで救済することに抵抗感が強い。独メディアによるとメルケル首相は22日の与党会合で、キプロスの消極的な危機対応を強く批判した。

 足元の金融市場は比較的落ち着いた状況で、他のユーロ圏諸国もドイツの強い要求に異を唱えていない。スペインの10年物国債の利回りは4%台後半で推移しており、市場関係者も「キプロスは特殊事例」とするユーロ圏政府の説明を理解しているもよう。

 独紙フランクフルター・アルゲマイネによると、キプロスは銀行からの資金流出を防ぐため、大口の決済取引を凍結。国外への送金などは制限し、キプロス中銀が決済を1件ずつ認可している状態という。

 ただ欧州中央銀行(ECB)は、ユーロ圏の支援策がまとまらなければ26日に銀行の資金繰り支援を打ち切ると通告した。国外の投資家にはキプロスに見切りをつける動きも広がる。キプロスやドイツをはじめ関係国が国内事情ばかりを優先する姿勢を続ければ、「特殊事例」であるはずのキプロス危機が通貨ユーロ全体に波及する事態を招きかねない。

キプロス金融禍、何の為のEU参加? [EU]

                                (感想) キプロスは、なぜロシアの罠に嵌ったのか。
                                       EU加盟後も、疑惑を残したまま、とは。

                                    キプロス島の一部は、今でも英国領だから・・・・。
                                       ギリシャ系(南部)とトルコ系(北部)の分断。
                                    地理的な重要性から、
                                       シリア、イスラエルも虎視眈々とか。

                                        まるで、金融を口実にした戦争だ。


〔シナリオ〕キプロス支援、合意できない場合の展開
    2013年 03月 22日 09:21 JST

http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK835736120130322

 [ブリュッセル 21日 ロイター] 欧州連合(EU)はキプロスに対し、25日の営業時間終了までに、約60億ユーロを調達する計画をまとめ、欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)と金融支援で合意するよう求めた。

 欧州中央銀行(ECB)は、支援で合意できない場合、キプロス向けの緊急流動性支援(ELA)を中止すると表明している。

 キプロス経済は、銀行・金融・観光に依存しており、ELAが断たれた場合、国内経済は崩壊しかねない。

 銀行は25日まで休業となっており、それまでに合意を成立させる必要がある。

 以下に考えられるシナリオをまとめた。

 
 <支援策で合意、銀行が営業再開>

 政府が銀行休業を延長しない場合、大手リテール銀行(バンク・オブ・キプロス、キプロス・ポピュラー銀行、ヘレニック・バンク、USBバンク)は26日午前から営業を再開する。

 この時点までにEU・IMFとの合意が成立すれば、大規模な混乱を回避できる公算が大きい。

 特に海外預金者から大量の預金の引き出しがあるとみられるが、ECBは引き続き緊急流動性支援を実施できる。

 市場がこれを好感し、落ち着きを取り戻せば、最終的には資金が国内に戻る可能性もある。

 これが最善のシナリオといえるが、この場合も銀行の再編は避けられないとみられる。


 <支援策で合意できないまま、銀行が営業再開>

 25日遅くになってもEU・IMFとの合意が成立せず、銀行休業も延長されない場合は、混乱が拡大する可能性が高い。

 銀行が営業を再開した場合も、預金の引き出しを求める顧客が殺到し、早期に営業中止を余儀なくされる恐れがある。

 特に国内2大銀行で今回の問題の影響を大きく受けているキプロス・ポピュラー銀行とバンク・オブ・キプロスはその可能性が高い。


 銀行休業が延長される可能性もあるが、預金者は現在、現金自動預払機(ATM)からしか預金を引き出せない状況で、休業が長引けば、社会不安が高まる恐れがある。

 ただ、どちらのシナリオも理論上の仮定で、ECBの支援を受けられなければ、銀行は破綻するとみられる。


 <資本規制>

 EU・IMFとの合意が不可能であることが25日までに判明すれば、キプロス議会が金融機関に対する資本規制を導入する可能性がある。

 法案はすでに議会に提出されている。

 資本規制は、当面の預金流出を制限する内容となる可能性がある。危機発生前の預金残高は700億ユーロ前後。

 ただ、資本規制を導入しても、2大銀行をはじめ、銀行の支払い能力の改善にはつながらない見通し。
  

 <バッドバンクの設立>

 EU高官は21日、「グッドバンク」と「バッドバンク」の設立が必要になる可能性があるとの認識を示した。

 最善のシナリオでは、グッドバンクがすべての健全債権と預金保険対象の預金(10万ユーロ未満の預金)を継承し、バッドバンクがすべての不良債権と預金保険対象外の預金(10万ユーロ超の預金)を引き継ぐ。

 EU高官は、バッドバンクの預金に対し、30─40%の「ヘアカット」を適用する必要があると指摘している。


 ただ、キプロスには預金保険の裏付けとなる資金がなく、預金保険対象の預金も全額は返還されない可能性がある。

 国内では銀行への不信感が募っており、救済策で合意が成立し、ECBが緊急流動性支援を継続した場合も、銀行が営業見合わせを余儀なくされる恐れがある。

 キプロス中銀は21日、国内2位のキプロス・ポピュラー銀行には破綻を避けるため再編が必要との認識を示した。


 <ユーロ離脱の可能性>

 銀行システムが崩壊した場合、国内経済は麻痺し、一時的に混乱が広がるとみられる。

 その後の経済の建て直しには、通貨の大幅な切り下げが最も有効とみられるが、通貨切り下げには、ユーロ離脱が必要になる。 


 EU高官はロイターに「金融セクターが崩壊すれば極めて大幅な通貨切り下げが必要になり、自国通貨を復活させる以外に道はなくなる」と述べた。

 ただ、一部のユーロ圏当局者は、経済が破綻した場合も、ユーロ圏の内部で対応することが望ましいとの認識を示している。


 <伝染>

 政策当局者は、今回の問題が他のユーロ圏諸国に波及するリスクは小さいとみている。

 ギリシャの国内総生産(GDP)はユーロ圏全体の2%と小規模だったが、キプロス経済はさらに規模が小さく、ユーロ圏全体の0.2%にすぎない。


 キプロスの銀行部門の規模はGDPの8倍、海外からの預金が多いなど、特殊な状況といえる。当局者は今回のような問題が他のユーロ圏で繰り返されることはないとみている。

 銀行不信が他のユーロ圏諸国に広がれば、ECBが信頼回復まで流動性を供給することが可能だ。


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コラム:キプロスの預金課税が正しい理由
    2013年 03月 19日 18:39 JST

http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE92I05G20130319?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0&sp=true

By Peter Gumbel

欧州連合(EU)がまとめたキプロス支援案に対する反応は、当初の「ショック」が落ち着き、ありきたりとも言える「非難」に変わった。

英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は論説で「欧州が支援策でまた失敗」の見出しを掲げたほか、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストを務める米経済学者ポール・クルーグマン氏は、「まるでギリシャ語やイタリア語で『預金を下ろしておこう』と書かれたネオンサインを掲げているようだ」とブログに綴った。

広く報道されているように、今回の支援策には重要な増税要素がある。キプロスに銀行口座を持つ人は、キプロス人であろうとなかろうと、預金に1回限り最大約10%の税金が課されるというものだ。徴収税額は58億ユーロ(約7200億円)に上るとみられる。

欧州全土で銀行の取り付け騒ぎが起こるという物騒なシナリオもあり得なくはないが、EU当局者がキプロスへの措置は例外的だと強調したことで、欧州の市場は18日午後までに落ち着きを取り戻した。

EUがこうした措置に踏み切ったのには、やむにやまれぬ事情が2つある。1つは、キプロスが1990年代にロシア人にとってのオフショア金融センターとして生まれ変わり、不透明なタックスヘイブン(租税回避地)の世界リストで上位に入っていたことが挙げられる。国際的な圧力が増す中、キプロスは2004年にEUに加盟するため、オフショア課税の枠組みを廃止したが、同国の銀行への疑念はぬぐえていない。

独シュピーゲル誌によれば、ドイツの外事情報当局は昨年11月、EUのキプロス救済基金はロシアの富豪の懐を潤すだけにすぎないと警告した。同情報当局は、キプロスの銀行にあるロシアマネーを260億ドル(訂正)と試算しており、これは今回のEU支援策のたっぷり2倍以上にあたる金額だ。ロシアの富豪ドミトリー・リボロフレフ氏は、国内最大手キプロス銀行の株式約10%を保有している。キプロスは、国際水準を満たすと約束しながらも潔白とはみなされていない国の1つとして、経済協力開発機構(OECD)のリストでは「グレー」な国家とされている。

このような状況で、厳しい条件なしにキプロスに国内総生産(GDP)の半分以上に当たる支援の小切手を切ることは、政治的な矛盾を生む。フランスとドイツは長年、タックスヘイブンの危険性を非難しており、不正を取り締まるため、G8やG20などの場でも他国に協力を呼び掛けてきた。キプロス国民自身に痛みを求めないとなると、独仏のこれまでの厳しい態度とは矛盾が生じることになる。

人気のあるタックスヘイブンでさえ100%安全ではないと示した点で、EUは国際金融全体にとって良い仕事をしたと言えるかもしれない。

今回のEUの支援策を支持する第2の理由は、モラルの観点というより経済的な打撃といった観点だ。2008年当時のアイルランド人やスペイン人、ギリシャ人に尋ねてみればいい。1回限りの家計への非常に厳しい影響か、5年にわたる経済低迷のどちらがいいかと。はっきり答えられる人は少ないだろう。

こんな選択は誰もしたくないし、キプロス国民には選択肢が与えられているわけでもない。しかし、こうした短期型の厳しいショック療法には前例がある。アイスランドだ。

アイスランドでは2008年、銀行が経営破たんに陥り、オンライン口座にあった英国人やオランダ人の預金も消滅してしまった。アイルランドやギリシャとは違い、アイスランドは政府の資金を投入して銀行を救済する道を選ばなかった

同国のグリムソン大統領は、フランスのインターネット新聞とのインタビューで「われわれは今回の危機が、単なる経済や金融に関するものではないことに気づいた。これは政治、民主主義、そして法律に関わる根深い危機なのだ」と語った。アイスランドでは、銀行の従業員や政治家が犯罪捜査の対象となったほか、なぜそもそも国家がこうした状況に陥ったのかを調査する特別検察官を設置することなどを含め、多くの法的措置が行われた。

アイスランドの約3倍の人口を抱えるキプロスだが、銀行預金に関する騒ぎが一旦落ちつけば、国民はアイスランド国民と同じように、なぜ危機が起きたのかをつぶさに調べようとするかもしれない。

キプロス国民にとっての大きな問題は、なぜ銀行はロシアなどからGDPを軽く超える資金を引きつけておきながら、国全体を窮地に追いやるほどの状態になってしまったのかということだ。おそらく教訓は、タックスヘイブンであることに大した価値はないということだろう。そしてキプロスの場合にもこれが当てはまるのなら、EUの措置はこうしたことに気づかせた点で極めて有益だと言えるだろう。

*6段落目の260億ユーロを260億ドルに訂正します。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

キプロス、どんな原因で預金課税まで? [EU]

                                 (感想) 小さな国が、どんな政策ミスをしたのか。
                                         大国のマネーロンダリングの犠牲か?


NY株続落、62ドル安
    2013年3月19日(火)6時0分配信 共同通信

http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/kyodo-2013031901001188/1.htm

 【ニューヨーク共同】週明け18日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均はキプロス支援をめぐる混乱を嫌気して続落、前週末比62・05ドル安の1万4452・06ドルで取引を終えた。ナスダック総合指数は11・48ポイント安の3237・59。ユーロ圏がキプロス財政支援の条件として、銀行預金課税という異例の措置を盛り込んだことで、財政難の南欧諸国でも同様の措置が取られるとの懸念が広がった


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キプロス預金課税、ユーロ圏当局者が柔軟姿勢-国民大反発で
    更新日時: 2013/03/19 01:08 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MJTODB6TTDS201.html

  3月18日(ブルームバーグ):キプロス救済に銀行預金課税を組み合わせるという前代未聞の措置について、欧州の政策当局者らが柔軟な姿勢を示した。措置発表を受けて欧州株とユーロが下落、イタリアとスペイン債利回りが上昇した市場の動きや、国民の大反発に配慮しているとみられる。

欧州当局者らは銀行預金課税を通じた58億ユーロ(約7140億円)の捻出をキプロスに求める一方で、小口預金者の負担軽減は同国政府次第だの姿勢を示している。100億ユーロの救済融資の条件である課税についての同国での採決は再び延期され、議会は19日午後6時に開かれることになった。銀行は18日の祝日に続き、19、20両日も休業になると当局者が述べた。

欧州中央銀行(ECB)のアスムセン理事は18日ベルリンで、銀行セクターを救うための課税の「構造をキプロスが変更したいと考えるなら、そのような決定が可能だ」とし、「重要なのは計画通りの58億ユーロの税収確保だ」と述べた。

キプロスの国内総生産(GDP)はユーロ圏全体の0.5%にも満たないが、銀行預金への課税は新たな金融危機を引き起こす恐れがある。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは今回の措置は欧州全域での銀行債権者の保護を限定する方向での大きな一歩だと指摘。国家のデフォルト(債務不履行)を防ぐためなら、金融市場混乱のリスクも辞さない当局者らの姿勢を示すものだと解説した。

キプロスの街ではATM(現金自動預払機)の前に行列ができ、他国でも資金流出が起こる懸念が浮上。欧州中央銀行(ECB)が昨年9月に財政難の国を支える方針を表明して以来落ち着いていた市場は、再び混乱する恐れがある。

市場はがくぜん

CMCマーケッツ(シドニー)の市場担当チーフストラテジスト、マイケル・マッカーシー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「トレーダーと投資家はこの措置にがくぜんとしている」と述べた。ロシアのプーチン大統領は預金課税について「不公平でプロとして失格、危険だ」と批判した。

キプロスのアナスタシアディス大統領は取り付け回避のため、一部預金者に同国のガス資産からの収入を裏付けとする債券を配布する計画を示したほか、10万ユーロまでは6.75%、それ以上は9.9%という当初計画の税率を見直す考えも示した。政府はユーロ圏財務相らに、2万ユーロ未満の預金への課税免除を提案する計画だとキプロス議員2人が匿名を条件に明らかにした。

また、当局者らによるとユーロ圏の財務担当当局者らが欧州中部時間午後4時半から電話会議をし、その後同7時半から財務相らが電話会議をする予定。

ドイツのショイブレ財務相が17日述べたところによると、銀行預金課税は銀行債保有者に損失を負担させる案の代替で、同案にはキプロス政府と欧州連合(EU)欧州委員会、ECBが反対だったという。ただ、事情に詳しい関係者は18日、銀行の劣後債保有者も損失負担を強いられる見込みだと述べている。


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「キプロス議会、ユーロ離脱を問う採決?」
    2013年3月18日(月)18時5分配信 フィスコ

http://news.nifty.com/cs/economy/stockdetail/fis-20130318-00095020130318001/1.htm

 本日18日の欧米市場のドル・円は、キプロス議会での金融支援条件に対する採決を見極める展開となる。ドル・円は、本邦機関投資家による3月期末決算に向けたリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)、ヘッジファンド筋による四半期末、復活祭に向けた円売り持ちポジションの手仕舞いで上げ渋る展開が続いている。

 本日、キプロス議会(56議席)は、ユーロ圏財務相会合が決定した金融支援の条件である預金課税法案などに対する採決を行う。市場の票読みでは、賛成が28票、反対が26票でどちらも過半数29票に達していない。

 2012年のユーロ圏域内総生産は9兆4834億ユーロ、ギリシャは1937億ユーロ(2%)、キプロスは178億ユーロ(0.2%)に過ぎない。すなわち、国内総生産(GDP)178億ユーロ、債務残高165億ユーロのキプロスに対して、100億ユーロの金融支援をする条件として、約700億ユーロの預金に対して約58億ユーロの預金税による負担を要求したことになる

 否決された場合、キプロスはデフォルト(債務不履行)の可能性が高まり、ユーロ圏から離脱する可能性が高まることで、欧州債務危機第2幕が始まることになる。

 承認された場合、キプロスへの金融支援は実施されるが、ユーロ圏の重債務国の金融機関から、預金課税を懸念した資金流出が起こる可能性があることで、欧州債務危機第2幕が始まる可能性が高まることになる。

 来週25日には、欧州連合高官が来日し、欧州に対する金融支援の継続が要請される模様、と報じられている。

 25日に日銀新体制が臨時日本銀行金融政策決定会合を開催するとの噂があるが、異次元の金融緩和に加えて、ユーロ圏への金融支援拡大(ユーロ買い・円売り要因の可能性)となれば、円安誘導を行えることになる


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キプロス政府が預金封鎖で10%徴収
    2013年3月18日(月)9時40分配信 ゆかしメディア

http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/yucasee-20130318-13224/1.htm

 キプロス政府は、IMF(国際通貨基金)とEUからの金融支援を受けることに合意し、国内の銀行口座の預金封鎖を発表した。

 ニコラス大統領は声明で「我々は1974年以来、最も悲観的な瞬間に生きています。破産状態を受け入れるしかないのです」と現状を述べた。

 「祖国の最善の利益に」として、具体的には10万ユーロ以上の口座については、約10%を、それ未満については、約7%の預金を徴収することになるという。

 キプロスはリーマンショック後は急速に財政が悪化しており、支援を要請していた。株式市場は6割下落し、世界の株式市場では最悪のパフォーマンスとなっていた。

 キプロスは、ロシア、ウクライナなど東欧のタックスヘイブンとして知られており、マネーロンダリングも行われていたともされる


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キプロス、預金封鎖を開始
    2013年3月16日(土)21時37分配信 共同通信

http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/kyodo-2013031601001931/1.htm

 【ロンドン共同】欧州連合(EU)ユーロ圏財務相会合がキプロスへの財政支援と引き換えに全ての銀行預金への課税を決めたことを受け、キプロス政府は16日、全銀行口座からの引き出しを制限する預金封鎖を開始した。ロイター通信などが報じた。通常は土曜日も開店している小口金融機関が閉店しているほか、現金自動預払機(ATM)からの引き出しやインターネット上での資金移動も制限されている。

パリの女性、ズボン禁止だったとは驚き [EU]

                                    (感想) へぇ~! 知らなかった。
                                            1800年って、フランス革命直後。
                                              市民革命も女性は別?

                                         今まで残っていたのが、不思議で驚き。


パリジェンヌのズボン着用が解禁
    2013年2月5日(火)12時48分配信 J-CASTニュース

http://news.nifty.com/cs/headline/detail/jcast-164137/1.htm

フランス・パリで定められていた女性のズボン着用の禁止令が廃止された。2013年2月2日、仏パリジャン紙などが伝えた。

ナジャット・バロー・ベルカセム女性権利相が1月31日、女性が男性と同じようにズボンをはきたい場合、地元の警察の許可が必要となる1800年11月17日施行の条例は「男女平等の原則にそぐわず」無効であると確認した。

1892年と1909年の改正で、自転車や馬に乗るときにはズボンをはくことが認められるようになっていたが、条例自体は残っており、女性団体らが廃止を訴えていた。

スペイン文化、小麦と卵を粗末にする愚 [EU]

                                (感想) スペインには、トマト祭り、と言うのもある。
                                        トマトを投げ合うのである。

                                   「食べ物を粗末にするな」 という教えは無いのか。
                                      食べ物を作る人への感謝、とかも。
                                      地道に働くことへの軽蔑、という文化。

                                   だから、国家経済が破綻するんだ。・・・・ 納得


スペイン・イビの祭り、市内は小麦粉で真っ白に
    2012年 12月29日 15時01分  提供元:AFPBB News

http://news.so-net.ne.jp/article/abstract/780543/    10036990.jpg

スペイン南東部のイビ(Ibi)で28日、200年の歴史を持つ恒例の祭り、「Els Enfarinats」が行われた。市民は市役所前で盛大に小麦粉や卵を投げ合って「戦い」、爆竹を鳴らして祭りを祝った。 写真は、卵を投げようとする軍服姿の男性(2012年12月28日撮影)。 [コピーライト]AFP=時事

【AFP=時事】スペイン南東部のイビ(Ibi)で28日、200年の歴史を持つ恒例の祭り、「Els Enfarinats」が行われた。市民は市役所前で盛大に小麦粉や卵を投げ合って「戦い」、爆竹を鳴らして祭りを祝った。【翻訳編集】 AFPBB News

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