TPP,企業が国家を支配する悪魔計画 [TPP]

                                (感想) 国家間の貿易協定ではない。
                                        世銀が国家を裁く。
                                 IMFと世銀を使って世界を支配する悪魔の計画だ。

                                      安倍首相は、悪魔に日本を売るのか?


国民に知らされないTPPという悲劇
    (ダイヤモンドオンライン 2013年03月14日掲載) 2013年3月14日(木)配信

http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/diamond-20130314-33289/1.htm
http://diamond.jp/articles/-/33289

安倍首相は15日にもTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加を表明する。

TPPとはいったい何なのか。安倍首相も含め、全体が分かっている人が日本に何人いるのだろうか。日本だけではない。交渉当事国でさえ、自分の国が何を交渉しているのか、国民は知ることができない。

■ 前原氏が暴露した事前交渉の一端

一端を伺わせるシーンが11日の国会論議であった。民主党の前原誠司氏が、日米事前協議を暴露した。TPPの最大の問題点は、「農業」でも「聖域なき関税」でもない。交渉内容が国民に知らされないまま、決まってしまうことだ。

日本がTPP交渉に参加するには、すでに協議を始めている加盟国の承認がいる。前原は国会で次のように述べた。

「我々が最後まで交渉参加を表明できなかったのは、なぜかというと、米国の要求、事前協議の中身があまりにも不公平だった。トラック、乗用車については関税をすぐにはゼロにしない猶予期間を設けるべきだ、ということだった。日本の安全基準については米韓FTAと同じように枠を設けるべきだ、ということだった。保険については、はじめはがん保険だけと思っていたら、学資保険の中身を変えることについても色々と言い出した。つまり中身について、事前交渉でこれをとにかく武装解除しなければ米国議会に通告しない、と。しかしこういう中身について我々は不公平であると、本来であれば、自動車の関税猶予なんてことは本交渉でやる話であって、我々は農産物を相殺して妥協しなかった」

事前交渉とは、何のためにあるのか。TPP交渉に参加する資格を審査する、というならまだ分かる。実態はTPP交渉に入る前の「武装解除」だったと前原は指摘する

実質的な通商交渉が始まっていたのである。その要求は親米派とされる前原氏にすら「不公平だ」と映った。自由貿易を掲げながら自国の自動車関税は下げない。それでいて米国から輸出する自動車には、安全基準の審査で特別なはからいをしろ、という。「OKしなければTPPに入れないぞ」である。こういう要求は日本の国内法なら「優越的地位の乱用」とされ違法行為だ。

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■ 保険分野では学資保険も標的

保健分野ではガン保険だけでなく、学資保険まで文句をつけてきた。米国保険会社と競合する保険商品を問題にする。かんぽ生命の株主が政府であるのは非関税障壁だと主張し、「売らせるな」と圧力をかける。かんぽ生命はがん保険を扱わない、と決めたのは、こうした裏交渉を受けての決定だった。それが学資保険までダメ出しされ、「そこまでは」と日本の腰が引けた、というのが真相のようだ。

異なる文化を持ち、制度も慣行も違う国が経済取引のルールを作ることは必要なことであり、世界はその方向に進んでいる。問題はその決め方だ。フェアで、対等で、情報が公開されることが大原則だ。

TPPの危うさは、ここにある。フェアであるか怪しい。対等ではない。情報はまったく公開されない。

中身を知らない国会議員が、どうして交渉参加の是非を議論できるのか

安倍首相は「自民党にはさまざまな意見がありますが、いったん決まれば全員がひとつなって取り組みます」と、常々言っている。

今回も、反対論、慎重論が噴出しているが、党の部会で審議にかけ、首相一任を取り付ける段取りだ。そこには議論はない。言いっぱなし、聞きっぱなしの「ガス抜き」があるだけで、問題の所在を語り合い、ことの是非を真摯に考える自由で民主的な作業は見えない。党内の議論は、手順を踏む儀式である。

■ 主要紙は前原発言を無視

もともとTPP交渉参加は、民主党政権で菅直人首相が、突然言い出したことだ。

対米関係でしくじった鳩山政権の轍を踏まず、米国への「武装解除」を示すのがTPP参加だった。不安定な政権を維持するには、米国との軋轢を避けるしかなかった。その足下を見透かすように「参加したかったら、これを飲め」と要求を突きつけられた。外交とはそういうものだ。

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前原氏は民主党で政策調査会長を務め、昨年10月からは国家戦略担当としてTPPの事前交渉を知る立場にあった。米国の理不尽な要求を跳ねつけることも、飲み込むこともできず、交渉参加を決断できなかった。環太平洋の自由貿易をうたい、モノ作り日本に新たな活路を見出すTPPというコンセプトなのに、自動車輸出に障害を残す、というのでは国民に説明がつかなかった。

国会でこうも語っている。

「我々は交渉参加表明をしたいと模索したが、この条件ではあまりにも日本は不公平だということで、我々は非対称的だということで交渉参加表明をしなかった」。そして「これ、妥協してまさか交渉参加するなんてことはないですよね」と迫った。

安部首相は正面から答えず、「前原さんも民主党も政府として交渉に当たってきた。米国との交渉においては、中身においては、皆さんに守秘義務が課せられているはずです。交渉中のことをいちいち外に出せば交渉にならない」とした。

前原氏が「守秘義務」を破っても訴えようとした「不公平な交渉」は、翌日の全国紙はほとんど載らなかった。東京新聞が扱った程度で、朝日も日経も無視した。

■ バスはもう出てしまった

TPPの悲劇は、交渉に守秘義務が課され、事実が外に伝われらないことだ。

前原氏が問題視した事案は、民主党政権のごく一部と官僚だけが知っていたことだ。

自動車が米国市場で不利に扱われるのを認めるか、見返りに農産物の例外を認めさせることがいいことなのか。かんぽ生命への干渉を許すのか。どれも日本にとって重要なことだ。政府のごく一部だけが知り、決めてしまう。こんなことが秘密裏に行われていいのか。国会も国民も蚊帳の外におかれてきた。

次のページ>> バスにはもう乗り遅れてしまった


守秘義務をかけた交渉で、得をするのは誰なのか

日本が交渉参加を表明すると、米国議会が参加を認めるかどうか審査する。あちらもねじれ国会、財政削減をめぐり大統領とギクシャクする議会にとって、重要度がさして高くもない日本のTPP交渉参加が、どれほどの優先度で審議されるか定かではない。7月までに結論が出るといわれるが、そうなったとしても日本が交渉のテーブルに就けるのは夏休み明けの9月から。交渉終了の1ヵ月前である。

入れ、入れ、とせっ突かれ、無理を受け入れて交渉に参加しても、ルール作りにはほとんど加われない。

7日の東京新聞は「日本が交渉入りしても加盟国が合意した項目は、再協議することはない、と参加9ヵ国で決められている」と特報した。バスはもう出てしまった。

シンガポールで開かれた3月の交渉で、米国の交渉担当者は、「日本が交渉参加を表明しても、事前に交渉のテキストを見ることはできないし、確定した項目に修正や文言の変更は認められず、新たな提案もできない」と述べた、という。

決められたルールは受け入れるしかない。見せてもらえない、というテキストは900ページに及ぶといわれる。交渉参加はサインするだけになりそうだ。

■ 企業が国家を支配する

では、交渉参加国は喜んでいるのか。そうともいえないのである。なぜなら、国民は何が話され、どう決まったのか、知らされていない。交渉の主導権を握る米国でも、TPPへの疑念は広がっている。

「TPPで企業が国家を支配する」という刺激的なタイトルをつけたキャンペーンフィルムが米国のNGOによって作られた。

焦点となっているのがISDS条項と呼ばれる「投資についての紛争解決システム」だ。ある国に投資した企業が、政策の変更で損害を受けたとき、その国の政府を訴えることができる。訴訟を扱うのはワシントンに本部のある世界銀行だ。

次のページ>> TPPという名の劇薬


米国のNGOは、NAFTA(北米自由協定)に盛り込まれたISDS条項を使って、メキシコやカナダで、米国の廃棄物業者が政府を訴え、巨額の賠償金を勝ち取ったことを実例に上げ問題にしている。環境規制を強化したり、国内業者を保護したりする政府を、外資が訴えるという仕組みだ

国境を越えた投資は、各地で摩擦を起こすことは少なくない。それぞれの国で裁判になるのが普通だが国家を飛び越え世銀に設けられた仲裁機関が決定する言語は英語である。決定に当事国の裁判所は関与できない。訴訟社会の米国らしい解決方法だが、多国籍企業が訴訟という武器を装備することになる。世銀は代々米国が総裁を送り出している。IMFと並び米国主導の国際金融体制を支えてきた拠点である

TPPは協定が結ばれると、国内法制を協定と整合性ある形に変えることが迫られる。分野は貿易にとどまらない。薬品の認可や価格、食の安全表示の仕方、金融や輸送、知的財産、紛争処理超国家の経済秩序が各国の制度を規定する力となる

秘密交渉のTPPの交渉内容は、各国のNGOが監視し、政権内部のシンパから情報が伝わる、という展開になっている。

TPPは、文化と伝統を背景に出来ている経済の慣行や制度を根本から問い直すものだ。改革のきっかけになるかもしれないが劇薬である。力の強いものに有利に働くだろう。

そうであるなら、国民的論議が必要だ。少なくとも国会に情報を提供して、議論されてしかるべきだろう。

「不公平な武装解除」を問題にした前原氏も結局は抱え込んだまま、国民に問いかけることをしなかった。自民党は、農協の反対を抑えるのに、米国にも「自動車という聖域」がある、と示しただけで、それでTPPで日本がどうなるのか、明らかにしていない。

安倍政権は、菅政権同様、日米関係という力学で参加を決めたように見える。あとは手順を踏むだけ。形ばかりの審議で決めてよいのか。TPPは日本の民主主義の成熟度を試しているように思う。

タグ:ISD条項 TPP
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